ブログ
- 犬の脂肪織炎と治療法|現在の薬の副作用が心配なときに考えたい漢方薬
-
- 2025/10/21
- 免疫性の炎症
-
愛犬の病気治療が長引いたり、薬の副作用が心配になったりする時に、治療法を見直す飼い主さんが増えています。特に犬の脂肪織炎は、原因不明なケースが多く、体に負担がかかる治療が続く場合もあるのです。
当院では、新たな治療の1つとして漢方をご提案しています。漢方が本当に効くのか不安な方もいらっしゃると思いますが、根本原因から体を整える治療方法です。
愛犬を元気で長生きさせるために、漢方薬治療の特徴やよくある質問を知っておきましょう。
適切な治療法を見つけるために…犬の脂肪織炎に関する基礎知識
犬の脂肪織炎がなかなか治らないと思ったら、これまでの治療を継続するべきか、別の方法を探すかで迷うでしょう。愛犬が一番楽に過ごせる治療法を探せるよう、まずは脂肪織炎についての基礎知識をご紹介します。
脂肪織炎の種類と原因
犬で多く報告されているのは「無菌性結節脂肪織炎」で、これは原因不明なことが多いです。東洋医学的には免疫のアンバランスが関係していると考えられています。
外科手術の際の縫合糸や細菌・真菌感染、注射部の炎症がきっかけで起こる脂肪織炎もあります。特に縫合性反応性の脂肪織炎で、来院される方も多いです。炎症のきっかけが違っても、起きていることは同じなので漢方薬では免疫に注目して治療を進めます。
脂肪織炎の症状は皮膚以外にも
脂肪織炎は、突然できた皮下のしこりや塊で気付くことが多いです。しこりから膿などの液体が出て、そこで初めて病気に気付くこともあります。
無菌性結節脂肪織炎の場合は体に炎症が起きているため、皮膚以外の症状も現れる場合があります。
<皮膚以外の症状>
・眼瞼炎や膀胱炎などの炎症
・お腹を壊す
・脱毛症
このほかにも、炎症によって体の不調を起こしている子も少なくありません。
診断と治療方法
診断ではまず、外傷や感染症など特定の原因がないかを調べます。病院によっては、針細胞診検査で組織を調べる検査を行う場合もあるでしょう。
西洋医学的な治療はステロイドや免疫抑制剤で炎症を抑えながら様子をみるのが一般的です。炎症部位の大きさによっては、手術が検討される可能性もあります。
犬の脂肪織炎に免疫抑制剤やステロイドは有効?漢方薬治療の可能性も
東洋医学的にみると犬の脂肪織炎の原因は、体や免疫のアンバランスです。そのため、西洋医学的な治療法では、症状が良くならない場合があります。愛犬を元気にするために、免疫抑制剤やステロイドでは治らない理由と、漢方薬治療の可能性を知っておきましょう。
免疫抑制剤やステロイドをオススメしない理由
免疫抑制剤やステロイドでは、起きている炎症を抑えます。炎症を抑えれば良いような気がしますが、見えている症状を抑えているだけで根本の解決にはなっていないのです。そのため、脂肪織炎で長期的にステロイドを服用しても治らない子がいます。
また、免疫抑制剤やステロイドは免疫を弱らせるため、むしろ炎症症状が悪化したり、体が弱ったりするリスクもあるのです。特に、もともと体が弱い子や高齢犬などは負担が大きくなるでしょう。
免疫抑制剤とステロイドは減薬できる
既に免疫抑制剤やステロイドで治療されている方は「今からでも別の治療に変えられるのだろうか」「今の薬を急にやめてもいいのだろうか」と不安になるでしょう。今まで免疫抑制剤やステロイドの減薬・休薬ができなかった子でも、漢方薬を併用して病気の根本を改善すれば減薬していけます。
これまで症状を抑える薬を使っていた場合、急に薬をやめてしまうと体調の変化が出る「リバウンド」が起こるかもしれません。当院では薬の量や飲んでいた期間を考慮し、リバウンド症状が現れないように、漢方薬治療で免疫や体のバランスを整えます。
漢方薬治療の可能性
脂肪織炎を根本原因から改善したい場合は、漢方薬治療がオススメです。その子の体質・免疫の状態に合った漢方を服用することで、体や免疫のアンバランスが整い、炎症が落ち着いてきます。当院ではステロイドを減薬しながら漢方薬で治療した例や、漢方薬治療開始後すぐに脂肪織炎が落ち着いたケースもあります。
また、漢方薬で体を整えると、再発を予防したり、他の病気とも戦える体づくりができる点がメリットです。長期的にみると穏やかな日々を過ごせる可能性が高くなるでしょう。
【Q&A】犬の脂肪織炎と漢方薬についてよくある疑問
犬の脂肪織炎を漢方で治療するのは、馴染みがなく、不安な方も多いでしょう。ここでは、漢方薬治療についてよくある質問にお答えします。
Q.現在治療中でも漢方薬を使えますか
他院で脂肪織炎を治療中の場合でも、漢方薬は服用できます。皮膚の異常に気付き、近くの動物病院を受診して脂肪織炎と診断される子も少なくありません。
その後、長引く治療に疑問を持ち、当院を受診される方もいらっしゃいます。受診後は、現在の状態を確認し、治療の方向性を決めていきますので、まずはご相談ください。
Q.症状が治った後も漢方を続ける必要はありますか
犬の脂肪織炎の症状が落ち着いても、体調を整える程度に漢方薬を継続するケースもあります。漢方薬は症状を抑えたり消したりするためではなく、体調を整えるために処方されるからです。
例えば、炎症が起きやすい体質の子は、季節や環境の変化によって炎症が起きるかもしれません。そのため、脂肪織炎の症状がなくなっても、何らかの変化により再発する可能性もあります。再発や他の病気を防ぐためにも、その時々に合った漢方を飲む子が多いです。
Q.犬は漢方を飲めるのですか
漢方薬は人間が思っているほど苦くはなく、体に合っていれば受け入れが良いです。ご飯にかけたり、混ぜたりして服用するのをオススメしています。ご飯と一緒に服用できない場合は、注射器で飲ませたり、薬を水で丸めて飲ませたりするのも良いでしょう。
当院では漢方薬の処方だけでなく、飲ませ方やご飯の作り方など生活全般をサポートします。
まとめ|犬の脂肪織炎とうまく付き合うために治療法を考えよう
犬の脂肪織炎は原因不明と言われ、治療が長引くケースも少なくありません。しかし、東洋学的にみると体や免疫のアンバランスが原因なので、漢方薬で体を整える治療を行います。
ステロイドや免疫抑制剤では、見えている症状を抑えるだけなので、根本解決にはなりません。免疫が弱ることで別の病気になるリスクもあります。漢方薬治療では、免疫や体のバランスに注目し、根本から改善することで脂肪織炎を治療します。
体の根本から愛犬の元気な体づくりをしたい方は、当院にご相談ください。