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猫の病気に漢方薬は効果がある?基礎知識・治療例からみる東洋医学の可能性
2025/11/06
治療方針、その他

猫の病気に対して、西洋医学では薬で症状を抑え続ける治療法が一般的です。しかし、薬を服用し続けると、副作用が発生したり免疫力が低下したりする可能性があります。


そのような不安を解消する選択肢として挙げられるのが、東洋医学の漢方薬治療です。漢方薬治療は、体の自然治癒力を最大限に引き出し、根本から改善できる可能性があります。


当院でも、猫の病気に対して実際に漢方薬治療を行なっている症例が多くあります。より良い治療法を選択できるように、漢方薬治療とは何か、ということを理解しておきましょう。


本記事では、東洋医学の基礎知識や注意点とあわせて、猫の病気に対する漢方薬治療の可能性と当院での治療の流れを紹介します。


猫の病気に漢方は使える?東洋医学の基礎知識と注意点

猫の病気で通院している場合、西洋医学では薬で症状を抑える治療を行います。一方で東洋医学は、体の根本から改善を目指す治療を行なうのが基本です。猫にも漢方は有効なため、治療の選択肢の一つとなるように、まずは東洋医学の基礎知識と注意点を理解しておきましょう。


東洋医学的な治療とは


東洋医学では、体が本来持つ自己治癒力を最大限に引き出し、体の根本から改善することが基本の治療法です。


一方で西洋医学では、薬で症状を抑えるだけの治療が一般的です。そのため、薬による副作用が強く、体が弱ったり辛い治療が長引いたりする可能性があります。


東洋医学で使用する漢方薬にも、副作用がないわけではありません。しかし、漢方薬治療なら、その子の体の力を最大限に引き出し、健康な生活を送れるようにサポートすることが可能です。


猫にも漢方は有効


「漢方って猫が服用しても大丈夫なの?」と不安になる方もいるかもしれません。漢方は自然の成分のため、猫はもちろんどんな動物でも服用可能です。ただし、生薬によっては猫に向き・不向きがあるため、専門家と相談しながら服用することをおすすめします。


漢方は、免疫や体の本来ある力を引き出すサポートができる治療法です。そのため、病気の根本原因から改善できたり、体質を改善できたりする可能性があります。


これらの効果は猫にも有効なため、気になる点がある方は、ぜひ一度当院へご相談ください。


漢方薬を服用する際の注意点


漢方薬にはさまざまな種類があり、なかには市販で販売されているものもあります。しかし、市販のものやサプリはその子の体に合っていないかもしれません。猫に漢方薬を服用する際は、診察を受けて利用するようにしましょう。


例えば、冷える体質の子なのに、体を冷やしてしまう作用のある漢方を飲むのは逆効果となります。漢方薬は、その子の体質を見極めたうえで服用するのが大切です。


猫のどんな病気に漢方薬は効果があるのか|当院の治療例を紹介


猫に漢方薬が有効と理解できても、実際にどのような効果があるのかが気になりますよね。ここでは、当院で猫に漢方薬治療を行なった実際の症例を3つ紹介します。実際の症例を参考にすることで、どのような疾患に効果があるのかがわかりやすくなるでしょう。


腎不全で漢方薬治療を続ける例


慢性腎不全の子が、漢方薬だけの治療によって数値が改善していっている症例です。8歳の子ですが、もともと片方の腎臓が小さく、症状がどんどん悪化している状態から漢方薬治療を選択されました。


初診では毛艶が悪くフケもあり、体調が悪そうな印象がありました。そこで、腎臓を助ける漢方薬の服用を開始すると、毛艶が良くなり上昇傾向だった腎臓の数値も下がり始めました。


東洋医学では腎=生命力と考えるため、その状態は若々しさや活発さと直結することが多いです。この症例では、腎臓を助ける漢方薬を服用することで、毛艶がよくなり「とにかく元気」な状態まで改善しています。


アレルギー性皮膚炎が改善した例


猫のアレルギー性皮膚炎も、漢方薬治療で改善する可能性があります。当院では、目の周りのアレルギー性皮膚炎で漢方薬治療を始めた子が、漢方を飲まなくても良い状態まで改善しました。


ステロイドに頼ることなく、炎症体質の改善で漢方薬の服用を続けることで、皮膚がきれいになりました。薬で無理矢理症状を抑え続けるだけでは、リバウンドや免疫低下によって皮膚炎が悪化してしまっていたかもしれません。


治療を行なう際は、原因を把握したうえで、体の根本から改善することが大切です。


膀胱炎を治療した例


漢方薬治療は、猫の膀胱炎の治療にも有効です。当院では、ストレスによって膀胱炎が発症し、4ヶ月経っても症状が改善しなかったため漢方薬治療を開始した例があります。


治療開始時は、一日10回以上トイレに行き、目にも力がない状態でした。膀胱炎に対する漢方薬はいくつかありますが、この子の場合は、根本的に免疫を整える漢方薬で治療を開始しました。


飲み始めてから徐々に症状が改善し、おしっこの回数は2〜3回、目もしっかりと開いて元気も戻ってきています。


その子の体質や体調に合った漢方薬治療で、体への負担を減らして症状の改善を目指します


ストレスがない通院をするために…猫の漢方薬治療を始める流れ


病気を発症すると、定期的な通院が必要になることが多いでしょう。しかし、猫にとって通院は大きなストレスとなるため、できるだけその負担を軽減させるような工夫が必要です。ここでは、猫に負担をかけない病院選びのポイントと当院での治療の流れを紹介します。


猫に負担をかけない病院選び


猫に病気が発症すると、どうしても通院回数が増えてしまいます。しかし、通院は猫にとって体への負担が大きく、特に長時間待つことはストレスになります。そのため、予約制の病院を選ぶのがおすすめです。


待ち時間が少なくなるだけでも、猫にかかる負担を軽減できます。当院は予約制となっていますので、気になる症状や質問などがある方は、些細なことでもまずはご相談ください。


初診で体質のチェック


当院では、まずは問診で普段の状態をヒアリングし、大体の体質を検討します。その後、触診で体質を見極め、Oリングテストを使いながらその子に合う治療法を選択していきます。


Oリングテストとは、生体そのものをセンサーとして、体に合うもの・合わないものなどを筋力変化から検出する方法です。


このような検査をしっかりと行ない、その子の今の状態に合う漢方薬の種類やその量、組み合わせを決めていきます


参考:日本バイ・ディジタルO-リングテスト医学会


服用後は体調に合わせて漢方薬を調整


当院での治療開始後は、その子の体調に合わせて漢方薬を調整しながら治療を進めていきます。例えば、体調が変化しやすい季節の変わり目は、その子の状態をしっかりと見ながら調整することが大切です。


体調の変化に合わせたきめ細やかな治療を行なうことで、体の根本からの改善につながります。


猫の漢方についてよくある質問

Q1. 漢方薬はどのくらいの期間飲み続ける必要がありますか?

漢方薬は、症状を一時的に抑えるのではなく、体の内側から整える治療法です。効果は早い子で1週間程度で出ますが、根本的な体質の改善にかかる時間はその子によって変わります。症状が落ち着いても、体を整えるために漢方薬を続ける場合もあります

Q2. 猫に漢方薬を飲ませるのは難しくないですか?

漢方薬は粉末や液体など、さまざまな形で調整が可能です。その子の性格や好みに合わせて与えやすい形で処方します。また、少量のごはんに混ぜたり、水に溶かしたりと工夫することで、無理なく続けることができます。漢方薬は苦い印象がありますが、体に合っている場合はそこまで苦さを感じず、受け入れが良い場合が多いです。

Q3. 市販の漢方やサプリを使っても大丈夫ですか?

猫用の市販品もありますが、自己判断で使用するのはおすすめできません。体質や病気の状態によっては、合わない漢方を使うと逆効果になることがあります。当院では、問診やOリングテストを用いて体質を確認したうえで、その子に合った漢方を選びます。安全で効果的な治療のためにも、専門家に相談してから服用するようにしましょう。

まとめ|猫の病気や健康維持に漢方は有効!正しい方法で服用しよう

愛猫の病気で通院をしている方にとって、薬を服用し続けるのは副作用や免疫の低下など、さまざまな不安がありますよね。そこで選択肢の一つとして挙げられるのが、東洋医学の漢方薬治療です。


漢方は、免疫や体の本来ある力を引き出すサポートができる治療法で、猫の病気や健康維持にも有効です。実際に当院でも、慢性腎不全やアレルギー性皮膚炎など、猫の病気に対する治療を行なった症例が多くあります。


「猫の病気で薬を出されているけど副作用が心配」「東洋医学の効果が気になる」という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。当院は予約制となっていますので、待ち時間も少なく受診していただけます。


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