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【動物漢方専門の獣医師が解説】シニア犬の体の変化からみるおすすめフード
2026/01/13
治療方針、その他

愛犬がシニア期に入り、最近は大好きだったご飯を残したりする・・・。そんな姿を見て「シニア犬になったこの子にとっての、おすすめフードってどんなものだろう」と悩む方も少なくありません。食事選びで一番大切なポイントは、今の愛犬の「体のサイン」を正しく受け取ってあげることです。


この記事では、東洋医学の考え方も交えながら、愛犬にいつまでも健康で長生きしてもらえる食事について解説します。


シニア犬の体はどう変わる?おすすめフードの前に知りたい知識

シニア犬向けのおすすめフードを選ぶ前に、まずは「シニアになると体の中で何が起きているのか」を一緒に知っておきましょう。


栄養バランスはシニア期に変わる


犬は7歳を過ぎる頃から、少しずつシニア期へと入っていきます。見た目は変わらなくても、胃腸で食べ物を消化する力が弱まったり、筋肉量や代謝が落ち始めたり。さらには、太りやすくなることもあります。また、腎臓や肝臓への負担も増えてくる時期なので、これまで以上に内臓に優しい栄養バランスをしっかりと考えましょう

参考文献:ヒルズペット「シニア犬(高齢犬)フードのポイントと与え方」

体の変化とフード選びの関係


年を重ねると、歯や顎の力が弱まり、硬いものを噛むのが負担になることがあります。また、匂いを感じる力が衰えてくるため、ご飯を前にしても「あまり美味しそうじゃないな」と食いつきが悪くなることもあるでしょう。この時期は、体をしっかり支えてくれる「良質なタンパク質」を無理なく摂らせてあげることが大切です。

東洋医学で見るシニア期


東洋医学では、シニア期を「腎(じん)」という生命エネルギーの貯金が少しずつ減っていく時期と捉えます。この時期は、脂っこいものよりも「シンプルで質の良い食事」がおすすめです。元気なお年寄りが素材を活かした和食を食べているようなイメージで、消化に良く、体の巡りや回復力を高めてくれる食事を選んであげましょう。


シニア犬のおすすめフードとは?選ぶ時の基準と手作りご飯を解説

シニア期には体が変化するとわかっていても、何を基準に選べば犬のためになるのかわからないと不安になる方もいらっしゃるでしょう。具体的なシニア犬向けおすすめフードの選び方と、今日から家でできる工夫を紹介します。


シニア専用のドッグフードは本当に必要?


市販の「シニア用」と書かれたフードが、必ずしも全ての子に満点というわけではありません。低カロリーすぎて逆に元気がなくなってしまう子もいます。また、ドッグフードは優れた栄養食ですが、人間でいう「加工食品」の一面もあるので、加工度の高いものばかりに頼るのではなく、新鮮なお肉やお野菜をトッピングするなど、自然の食材をプラスして内臓の負担を減らしてあげましょう


その子の状態にあった食事とは


人間のお年寄りと同じで、その子の体調や体のバランスに合わせることが何よりの栄養です。歯が弱い子ならドライフードをぬるま湯でふやかしたり、柔らかいウェットフードを選んだりといった工夫をしてあげましょう。また、愛犬が「食べたい!」と興味を示すものは、その子の体が本能的に求めているサインかもしれません。家族みんなで、愛犬の今の好みをしっかり観察してあげてください


東洋医学で考えるおすすめフード


東洋医学では、素材そのものを活かした「シンプルで質素な食事」が理想的と考えます。健康なお年寄りが食べている和食のイメージです。加工度の高いフードは消化や肝臓/腎臓の負担になりやすいのですが、質素な食事は胃腸に優しく、体全体の巡りを乱しにくいのがメリットとして挙げられます。

愛犬の状態に合わせて、以下のような工夫を取り入れてみてください。

・冷えタイプ: 手足やお腹が冷えやすい時は、温かくて消化の良いタンパク質を選択

・虚弱タイプ: 体力が落ちてたくさん食べられない時は、少量でもギュッと栄養が詰まったものを用意

・食欲ムラ: 食べたり食べなかったりする時は、お出汁の香りを立てて鼻を刺激してあげると、食欲促進の可能性あり

こうしたちょっとした心遣いが、愛犬の「食べる楽しみ」を取り戻すきっかけになることでしょう。

シニア犬のおすすめフードを取り入れても食べない時の対処法

シニア期になると、これまでの食事のサイクルが変化するかもしれません。そのため、体調に合わせたシニア犬用のおすすめフードを用意しても、なかなか食べてくれない時があります。原因とシニア期の食事のポイントをおさえて、飼い主さんの不安を減らしましょう。


食事を摂れない原因


体調不良だけでなく、お散歩の時間が減ってお腹が空いていない場合もあります。また、シニア犬は寝ている間にお腹が冷えやすくなるため、朝一番は胃腸がまだ眠っていて食欲が出ないことが多くなります。そんな時は無理に朝に食べさせようとせず、お昼や夜にずらして、胃腸が動き出してからまとめて与えるのも、一つの方法です。


シニア犬の食事のポイント


「食事の回数を分けたほうがいい」という考え方もありますが、実は消化のためには「お腹が空いている時間」をしっかり作ることも大切です。そのため、必ずしも回数を増やすのが正解とは限りません。


もし、少ない回数では体を維持するのに十分なカロリーが摂りきれない場合には、工夫が必要です。ドライフードをふやかしたり、お粥状にしたりして、消化に良い状態にしてから、数回に分けて与えてあげると良いでしょう。また、お天気の良い日は無理のない範囲で外を歩き、自然な空腹感を促すことも、美味しくご飯を食べるための大切なポイントです。


​​シニア犬のおすすめフードについてよくある質問


Q1. シニア犬には、ずっとシニア用フードを与え続けた方がいいのでしょうか?


必ずしも「シニア用」に固定する必要はありません。シニア犬向けフードは、カロリーやリン・脂質が控えめに設計されているものが多いですが、体力や筋肉量がしっかりある子にとっては「控えめすぎる」場合もあります。

大切なのは年齢よりも、今の体重・筋肉・食欲・便の状態です。痩せてきた、疲れやすいなどの変化があれば、良質なタンパク質を補ったり、消化しやすい形にする工夫が必要になります。漢方的にも「その子の今の状態」に合わせて調整する考え方が基本なので、フード名より体の反応を指標にしてあげましょう。


Q2. シニア犬にはウェットフードとドライフード、どちらがおすすめですか?


どちらが良いかは、歯・胃腸・食欲の状態によって変わります。噛む力が弱くなってきた子や、食いつきが落ちている子には、ウェットフードやドライフードをふやかしたものが向いています。一方で、胃腸がしっかりしている子にはドライフードでも問題ありません

東洋医学の視点では、冷えやすいシニア犬には常温〜少し温かい食事がおすすめです。冷たいウェットフードをそのまま与えるよりも、少し温めたり、温かいスープをかけてあげると、胃腸の負担を減らし食欲アップにつながることがあります。


Q3. 食欲が落ちて痩せてきました。病気なのか、フードが合っていないのか不安です。


病気だけでなく、加齢による体の変化や消化力の低下が原因のことも多いです。シニア犬は、食べる量が減るだけでなく「食べても身になりにくい」状態になることがあります。これは東洋医学でいうエネルギー不足(虚弱)のサインとも考えられます。

まずは急激な体重減少や元気消失がないかを確認し、心配な場合は検査を受けた上で、

消化しやすい形状にする

少量でも栄養価の高い食事にする

香りを立たせて食欲を刺激する

といった工夫を取り入れてみてください。体のサインを一緒に読み取ってあげることが大切です。

まとめ|シニア犬になると体が変わる…おすすめフードで健康な生活を!


シニア犬の食事管理において大切なのは、単なる栄養素の計算だけではありません。おすすめフードに頼り切るのではなく、個々の体調や消化能力を見極めることも重要です。そして何より、愛犬の今の気持ちと体に寄り添うことが一番の薬となります。

ご家族で日々の様子を細やかに観察し、その子にとって最も心地よい食事のリズムを整えてあげてください。その積み重ねが、穏やかで健康的なシニアライフを支える確かな土台となるでしょう。


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