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犬の血小板減少症が治らない…治療の再考時に知っておきたい漢方のこと
2025/10/25
免疫性の炎症

犬の血小板減少症は、免疫機能が血小板を攻撃して、皮膚にアザや点状出血などのさまざまな症状が現れる病気です。症状が悪化すると血便や吐血などが見られ、重度になると命に関わることもあります。


ステロイドや免疫抑制剤による治療が一般的ですが、治療を続けていても、「なかなか良くならない」「元気がなくなっている気がする」と悩む方は多いです。これは、病気の原因に対する治療ができていないからかもしれません


その場合は、その子に合った治療法を再考することも大切です。今回は、犬の血小板減少症の治療の再考時に知っておきたい、漢方薬治療についてわかりやすく解説します。


犬の血小板減少症が良くならない時に考えられる3つの理由


犬の血小板減少症は、免疫機能が血小板を自分のものではないと誤認して攻撃することで発症するのがほとんどです。完治までに時間がかかることもあり、「なかなか良くならない」と悩む飼い主は少なくありません。ここでは、犬の血小板減少症が良くならない時に考えられる、3つの理由を解説します。


薬で免疫が弱っている


犬の血小板減少症の治療では、ステロイドや免疫抑制剤で炎症を抑えるのが一般的です。しかし、炎症を抑えるために薬を過剰に使用すると、免疫が弱まりむしろ病態が悪化してしまう可能性があります。


場合によっては、赤血球が破壊されることで貧血が起こる溶血性貧血を併発してしまうことも珍しくありません。入院治療をしたとしてもできることは同じであるため、入院中に数値が戻らず、残念ながら亡くなってしまうケースも見られます。


参考:FPC「免疫介在性血小板減少症」


治療や入院が犬のストレスになっている


犬の血小板減少症で出血が見られる場合や重症のケースでは、入院治療が必要になることがあります。血小板数の回復が見られれば数日〜1週間程度で退院が可能ですが、回復が不十分な場合は入院期間が伸び、退院できても継続的な治療が必要になることがほとんどです。


長期間にわたる治療や入院は、犬にとって大きなストレスとなり、免疫が弱まってしまう可能性があります。免疫が弱まるとせっかく治療を行っていても十分な効果が得られないことがあるため、犬の身体に負担が少なく、その子に合った治療法を検討することも大切です。


その子の体質を改善できていない


血小板減少症が治らない場合は、その子の体質が改善できていない可能性があります。


その要因として挙げられるのが、薬で炎症を抑えているだけで病気の根本の解決ができていない、ということです。病気の改善ができていない、むしろ大量の薬の使用によって免疫を弱らせてしまい、病気の原因を悪化させてしまっていることが考えられます。


血小板減少症がよくならない場合は、その子の体質を体質を改善できるような治療を検討してみると良いでしょう。


良くならない犬の血小板減少症の治療に漢方薬の選択肢を


犬の血小板減少症が良くならない場合、治療法がその子に合っていないかもしれません。治療のために使用する大量のステロイドが、その子の免疫を弱めて、症状を悪化させてしまっている可能性があるのです。ここでは、犬の血小板減少症の治療法として、漢方薬がおすすめの理由を紹介します。


血小板が下がる理由に注目した治療ができる


西洋医学による治療では、ステロイドを使用し、免疫を抑制して炎症を抑える治療のみを行います。炎症を抑えるための治療となるため、病気そのものに対する治療ができていないのです。


このことから、血小板減少症がなかなか良くならない場合は、病気の原因に対する治療が必要な可能性があります。病気の原因に対する治療法の選択肢として挙げられるのが、漢方薬治療です。


例えば、免疫が弱まっていることが原因で血小板が減少しているなら、漢方薬治療で免疫の状態を整えることで症状を改善できる可能性があります。このように、血小板が下がる理由に注目した治療ができるのが、漢方薬治療のメリットといえるでしょう。


今の薬を減薬できる


漢方薬治療では、血小板減少症の治療として一般的なステロイドや免疫抑制剤を減薬できる可能性があります。当院に来院される方は、多量のステロイドによる副作用によって免疫が低下してしまっている子が多いです。


そのため、当院では漢方薬で免疫を整えながら、少しずつ減薬していきます。免疫が整っていれば悪化することはありませんが、これまでに多量のステロイドを使用していた場合、リバウンドが強く出て減薬に時間がかかることも少なくありません。


漢方薬治療で免疫を整えられれば、血小板を維持しながら減薬できる可能性があります。


他の病気の予防もできる


漢方薬治療ではその子の体質に合わせた治療を行うため、ただ症状や数値が改善するだけでなく、体全体のバランスを整えられます。体全体のバランスが整うと、症状だけでなく免疫や体調が改善して、合併症や別の病気を防げる可能性があるのです。


数値だけ見るとステロイド治療をしてあげたほうが良い、と感じることがあるかもしれませんが、副作用によって将来の健康と引き換えにしてしまっている可能性があります。安定しながら穏やかに暮らすために、犬の身体への負担が少ない漢方薬治療を検討するのも良いでしょう。


犬の血小板減少症に漢方を試したい!病院の探し方と注意点


犬の血小板減少症に漢方薬を試したい、と思った時に「普段の動物病院で受けられるの?」「漢方薬ってどこでもらえるの?」など、さまざまな疑問が浮かぶでしょう。ここでは、漢方薬を試したい時に役立つ、病院の探し方と注意点を紹介します。


東洋医学を行っている動物病院を探す


漢方薬治療は洋医学に基づいて、犬の体質を改善したりバランスを整えたりする治療法です。そのため、犬の血小板減少症で漢方薬を試したい場合は、「東洋医学」を行っている動物病院を探す必要があります。


また、近くに東洋医学を行っている動物病院がない場合は、遠方への往診に対応している病院を選ぶと良いでしょう。往診の場合は、往診代や交通費などの別途料金がかかることがほとんどのため、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。


市販の漢方サプリでは改善しないことも


市販でも漢方サプリが販売されていますが、医薬品ではないため、症状が改善されないことも珍しくありません。十分な効果を得るためにも、動物病院を受診してその子に合ったものを処方してもらうことをおすすめします。


当院では、体質や体調を把握したうえで、その子に合った独自の調合が可能です。そのため、免疫や体のバランスが整えられやすく、病気の原因を改善できる可能性も高まります。


当院では他院通院中でも対応します!


当院では、西洋医学ではなかなか改善しない疾患に対して、漢方薬を用いた東洋医学の治療を行います。そのため、他院通院中の方も多いです。


また、他院で「治療法がない」「ステロイド治療がずっと必要になる」などを告げられた際の、セカンドオピニオンとしても利用できます。実際に、「西洋医学的な治療で良くならなかったから」という理由で来院される方は少なくありません。


犬の血小板減少症についてよくある質問


Q1. ステロイドを飲んでいても漢方薬は使えますか?


はい、併用できます。実際に、ステロイドや免疫抑制剤を使用しながら漢方薬で体質を整え、少しずつ減薬していくケースが多いです。急に薬をやめると、リバウンドといって症状がひどくなる場合もあるので、体調をみながら調整します。

Q2. ステロイド治療をやめたら再発すると言われました。漢方で防げますか?

ステロイド治療では見えている症状を抑えるだけなので、薬をやめると症状が出る場合があります。漢方薬で体質を整えることで、再発のリスクを下げられる可能性があります。

Q3. 食事や生活で気をつけたほうがいいことはありますか?

新鮮で旬のものを取り入れた手作りの食事がオススメです。質素でもその子が食べたがるものが良いでしょう。生活ではストレスを溜めないように、散歩や遊びを行ったり、寝心地の良いところでしっかり休んだりすることが大切です。

まとめ|犬の血小板減少症で悩んだら漢方薬治療も検討を


犬の血小板減少症は、重症になると出血や血便などの症状が現れ、命に関わる可能性のある危険な病気です。治療期間が長引くことも多いため、「なかなか治らない」「元気なくなっている気がする」など、さまざまな不安が出てくるでしょう。


治療ではステロイドや免疫抑制剤を使用するのが一般的ですが、長く続けると免疫が弱まり、症状が悪化してしまうおそれがあります。そのようなことを防ぐために、漢方薬治療を検討するのも一つの方法です。


その子の体質に合わせた治療によって体のバランスが整えられ、減薬しながら数値を維持できる可能性があります。


ステロイドで一時的にでも数値を維持するのか、病気の原因を整えながら穏やかに過ごせる治療を行うのか、その子に合った適切な治療法を選んであげることが大切です。


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