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飼い犬の白血病を疑ったら|安心できる治療を選ぶための基礎知識
2025/10/14
癌や腫瘍

犬の白血病を疑ったら、今後の治療や生活に不安を持つ方が多いでしょう。治療では抗がん剤やステロイドなどを使うのが一般的ですが、治療による副作用や感染症が起こることも少なくありません。

そこで、当院では犬の白血病に対して、漢方薬治療を行っております。犬の体への負担を抑えて、今を大切にできる漢方薬治療を検討するのもおすすめです。

犬の白血病の基礎知識を理解し、飼い犬との生活を大切にできる治療法を選択できるようにしましょう。


犬の白血病の種類・症状とは?なりやすい犬種と年齢も解説

犬の白血病は、白血球ががん化して増殖する血液のがんの一種です。白血病の種類によっては、元気消失や貧血、発熱などさまざまな症状が現れます。まずは、犬の白血病の基礎知識を理解しておきましょう。

犬の白血病の種類と症状

犬の白血病は、血液のがんの一種で「急性リンパ芽球性白血病(ALL)」と「慢性リンパ性白血病(CLL)」の2種類にわけられます。

<急性リンパ芽球性白血病(ALL)>

・リンパ芽球が未成熟な状態でがん化し、本来骨髄で生成されるはずの赤血球や血小板、正常な白血球が減少する

・症状の進行が非常に早く、数日〜数ヶ月で重篤な状態になることが多い。

・主な症状:元気消失、食欲不振、嘔吐や下痢、体重減少、貧血など

<慢性リンパ性白血病(CLL)>

・成熟したリンパ球が悪性化して増殖することで起こる

・症状の進行は緩やかで急性型に比べると症状が出にくいため、発見が遅れることがある

・健康診断の血液検査で偶然発見されることが多い

・主な症状:無症状なことが多いが、軽度な貧血や食欲の低下などの異変を飼い主が感じる例もある

犬が白血病になる原因とは?

犬の白血病の明確な原因は明らかになっていませんが、よく言われているのは、遺伝または環境的要因の2つです。しかし、肥満細胞腫の治療で免疫が弱まり白血病が発症したという症例もあります。これは、免疫疾患の治療の際にステロイドや免疫抑制剤を使用することで、免疫細胞が暴走して白血病が異常に増えたことが原因と考えられます。

この場合、免疫を整えて薬を徐々に減らすことで、白血球が落ち着いてくることも多いです。

参考:FPC「白血病」

白血病になりやすい犬種と年齢

急性リンパ芽球性白血病は、5〜6歳前後の比較的若い犬が発症することが多く、10〜11歳の高齢になると慢性リンパ性白血病を発症しやすいと言われています。

どのような犬種でも発症する可能性はありますが、なかでも発症しやすいと考えられているのが、以下の犬種です。

・ゴールデンレトリバー

・シーズー

・ポメラニアン

・ビションフリーぜ

・ジャーマンシェパード

・ケアーンテリア

・ミニチュアダックスフント

東洋医学で犬の白血病は治療できる?西洋医学との違いとは


白血病を発症した犬には抗がん剤やステロイド治療などを行うのが一般的ですが、副作用が起こる可能性があり、犬の体に大きな負担になることも少なくありません。

そこで、副作用が少なく体への負担を軽減できる可能性のある、漢方薬治療も有効な手段の一つです。状態にあった治療を選択するためにも、東洋医学と西洋医学の違いを理解しておきましょう。

西洋医学|症状を抑えられるがリスクも…

犬が白血病を発症した場合、西洋医学では抗がん剤やステロイドを使用した化学療法を行うのが一般的です。また、貧血に対しては輸血、食事が摂れない場合はカテーテルでの流動食の投与など、状態にあわせた治療を行います。

白血病細胞を減らしたりがんの増殖を抑制したりなどの効果がある一方で、抗がん剤投与で起こる感染症や消化器障害など、治療による二次障害が起こる可能性があることを理解しておきましょう。

東洋医学|免疫の調整を優先する

東洋医学で治療する場合、体ががんと戦い食い止められるように、体質を整えて免疫細胞を活性化させることを優先します。つまり、症状そのものを治すのが目的ではなく、免疫を調整して体の自然治癒力の向上を目指すアプローチ方法です。

抗がん剤やステロイド治療による犬の体への負担を少しでも軽減する手段として、東洋医学の漢方薬治療が選択肢の一つに挙げられています。

漢方薬で生活の質を維持できる可能性

犬は、人間と時間に対する捉え方が異なります。そのため治療を行う際は、生活の質を維持しながら、なるべく苦しむことなく家族と一緒に過ごす時間を確保するのが大切です。

そこで、副作用が少なく安心感を持って治療ができる漢方薬が、有効な手段の一つとして挙げられます。体調を整えながら免疫を調整する漢方薬は、生活の質を維持しながら治療を継続できる可能性がある治療法といえるでしょう。

犬の白血病を疑った時に飼い主さんが今できる3つのこと


犬の白血病を疑ったとき、白血病とわかったとき、何をしたら良いのか分からずに戸惑ってしまうかもしれません。犬の「今」この瞬間を大切にするためにも、飼い主が「今」できる3つのことを覚えておきましょう。

①症状を記録する

犬の白血病の症状はさまざまあり、特に初期の症状はほかの病気と区別がつきにくいため、日々の細かい記録が診断の際に重要な情報となります。

<記録しておくべきこと>

・症状が出た時期と期間

・ご飯の状況(食欲低下や食べる物の変化など)

・活動レベル(睡眠時間の変化や疲れやすさなど)

・消化器症状(嘔吐や下痢などの回数、状態)

・出血(鼻血や血が止まりにくなど)

日々の変化や症状の頻度、持続期間などを具体的に記録し、獣医師に正確に伝えることが大切です。

②治療できる病院を探す

継続した治療を行うために、近くて通院しやすい病院を選択する方もいるでしょう。しかし、化学療法で症状を抑える治療を続けると、免疫が乱れて悪化する恐れもあります。

治療による犬の体への負担を軽減するためにも、納得できる治療法を選択できる病院を探すのが大切です。当院では、全国へ往診を行っております。神戸までは遠くて通えない方も、安心してご利用ください。

③犬との「今」を大切にする

「今」を生きている犬は、時間の捉え方が人間とは異なるため、「今」を大切にしてあげましょう。わずかな延命や少ない可能性の辛い治療の選択などで時間を犠牲にするよりも、生活の質を維持しながら、犬との時間を大切にできる治療を選ぶことが犬にとっては大切になります。

また、暑そう・寒そうなら温度を調整する、寝苦しそうなら落ち着ける場所を探すなど、飼い主が今できることは多くあります。そばにいてあげられるなら、なるべくそばにいてあげましょう

このような「今」を大切にする治療は、病気と戦う西洋医学とは違い、体を整えることで病気の治療をする漢方薬で実現できる可能性があります。さまざまな治療法があり悩んでいる方、今の治療法に疑問がある方は、まずは当院にご相談ください。

犬の白血病についてよくある質問

Q1. 犬の白血病は完治するのでしょうか?

A. 犬の白血病は「完治が難しい病気」とされています。急性型の場合は進行が早く、慢性型の場合は治療が長引く可能性があります。強い薬の副作用などで辛い時間を過ごすよりも、漢方薬治療で生活の質を整えながら過ごせるようにするのが大切です。

Q2. 白血病に対する漢方薬の治療期間はどれくらいですか?

A. 漢方薬治療を長く続け、体調を管理している子が多いです。漢方薬はその子の体に合っていれば、1週間程度で効果が出る場合もあります。少し元気を取り戻したり、体調が良くなったりするなどの変化が見られます。白血病には、免疫細胞が活性化するのが大切なので、その時々の体調に合わせて漢方薬を調整する場合が多いです。

Q3. 抗がん剤治療と漢方薬治療は併用できますか?

A. はい、併用できる場合があります。今まで使っていた薬をすぐにやめるとリバウンドで体調が悪化するかもしれません。そのため、その子の体のバランスを見ながら抗がん剤と漢方薬を併用しながら治療を行う場合があります。他院で治療中の場合も、漢方薬は服用できる可能性が高いため、まずはご相談ください。


まとめ|犬の白血病には安心できる環境を整えるのが大事


犬が白血病を発症すると、食欲不振や元気消失などのさまざまな症状が現れ、普段とは違う様子に戸惑ってしまうかもしれません。まずは、犬が安心できる環境を整えることが大切です。そのためにも、どうすれば最期まで普段通りの生活をして、家族と一緒に過ごせるかという視点で治療法を考えてあげましょう。

「今の治療に納得できていないなら納得できる治療法をしてもらえる病院を探す」「愛犬が治療で辛そうなら副作用が少ない漢方薬治療を取り入れる」など、飼い主ができることはたくさんあります。

できるだけ今の苦しみを取り除き、普段通りの生活を維持できる「今」を大切にする治療ができる病院に相談してみるのがおすすめです。

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