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- 愛犬との貴重な時間を無駄にしない漢方薬とは|癌治療の選択肢を考える
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- 2025/12/28
- 癌や腫瘍
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家族として迎え入れた犬が、「癌」であると告げられたとき、飼い主様の心には計り知れない悲しみと不安が押し寄せることでしょう。特に、子犬の頃から長い時間をともに過ごしてきた子なら、ショックで頭が真っ白になってしまうかもしれません。
「最期の時まで、この子らしく過ごさせてあげたい」「これ以上、治療で苦しむ姿は見たくない」そう願うのは、飼い主様として当然の愛情です。本記事では、犬の癌治療における漢方薬の役割や、西洋医学との違い、そして生活の質(QOL)をどう守っていくかについて詳しく解説します。
愛犬を少しでも楽にしたい…漢方薬は癌に有効なのかを解説

癌と向き合うとき、どうしても「癌を消すこと」ばかりを考えてしまいがちですが、東洋医学の漢方は少し考え方が違います。癌という病気だけを見るのではなく、癌を抱えている「その子の体全体」を整えることが漢方薬の役割です。
犬の癌治療に対する漢方の役割
漢方薬は、癌細胞を直接攻撃して死滅させるための薬ではありません。本来持っている免疫の力を助け、癌の進行を抑えるとともに、体が癌に負けないようバランスを整える役割を担います。
癌に伴うしんどさや痛みなどの辛い症状は、体内で起きている炎症が影響していることが少なくありません。漢方薬で免疫を整えることは、この炎症を鎮めることにつながり、結果として症状の緩和が期待できるのです。
また、抗がん剤治療を受けている場合でも、漢方薬を併用するメリットは大きいといえます。抗がん剤によってダメージを受けやすい臓器や免疫機能を、漢方でサポートすることで、副作用による体調悪化を防ぎ、抗がん剤そのものの効果を助けることにもなるでしょう。
生活の質を守る漢方
西洋医学の強い薬は、時に激しい吐き気などの副作用を伴います。愛犬がぐったりしてしまう姿を見るのは、飼い主様にとっても非常につらいものですよね。副作用で苦しみ続ける日々は、大切にしたい生活の質(QOL)を低下させてしまいます。
愛犬に漢方薬を使って体内の炎症をコントロールすることは、癌の進行を緩やかにするだけでなく、愛犬が「おいしくごはんを食べられる」「ゆっくりお昼寝ができる」といった当たり前の日常を過ごす助けとなります。残された時間を、ただ闘病するだけでなく、家族みんな笑顔で過ごせる可能性があるのです。
なぜ犬に漢方薬?西洋医学の癌治療と東洋医学を比較

なぜ今、犬に漢方薬を使った癌治療を行う選択肢が注目されているのでしょうか。それは、現在主流の西洋医学(手術や投薬)だけでは、補いきれない部分があるからです。
西洋医学は「症状」を治療するから
西洋医学は、今出ている特定の症状を抑えるのが得意です。例えば、吐いていれば吐き気止め、痛みがあれば鎮痛剤を使います。これらは即効性があるので重要ですが、あくまで対症療法であることが多く、症状を引き起こす体の根本的な崩れまでをカバーしきれない可能性も否めません。
そのため、一時的に良くなっても、原因が解決していないために治療が長期化したり、再発を繰り返したりするケースも多くみられます。
西洋医学の薬の限界
抗がん剤治療などは、副作用を避けるのが難しいという面があります。胃腸障害による下痢や嘔吐、貧血、内臓機能の損傷など、体への負担は顕著に出てしまいます。
一番の心配は、癌を攻撃するのと同時に免疫力まで下げてしまうこと。抗がん剤で癌が少し小さくなっても、副作用で体力がなくなってしまっては、予後の生活の質は守られませんし、本来体が持っている癌の進行を抑える力も弱くなるので、再発しやすくなります。結果、愛犬も飼い主様も疲弊してしまうということも見受けられます。
東洋医学でできること
一方、東洋医学では、その子の体質を見極めて「なぜ今の状態になっているのか」という根本に注目し、漢方薬を使って、癌と戦えるだけの免疫力や体力を内側からじっくり整えていきます。
目に見える悪い部分を取り去るだけでなく、体という土台を整えることで、癌と共生することになっても元気に過ごせる状態を目指すのが、東洋医学の大きな強みです。
うちの子にも使える?犬の漢方薬はどのような癌治療ができるのか

「犬に漢方を使うことで、癌の症状が本当に良くなるの?」と不安な方もいるでしょう。当院では、西洋医学だけの治療に限界を感じた飼い主様が、新しい希望を求めて漢方薬を取り入れたケアを始めています。
当院での癌治療の例
当院では、以下のようなさまざまな種類の癌を抱える子たちのサポートを行ってきました。
・白血病
・肥満細胞腫
・鼻腔内腺癌
・口腔内扁平上皮癌など
癌の種類や進行状況により反応は異なりますが、漢方薬を取り入れたことで「食欲が戻った」「以前より元気になった」「腫瘍が小さくなった」といったお声もいただいております。大切なのは、検査の結果だけを追うのではなく、愛犬が毎日をいかに心地よく過ごせているかという点です。
漢方薬を始める前に知っておきたいこと
漢方薬は自然由来のものが多いです。しかし「医療」なので、以下の点に留意が必要です。
・自己判断は禁物: ネットなどで購入したものを独自の判断で与えると、体質に合わず逆効果になる恐れあり
・併用の判断: 抗がん剤などと併用する場合は、必ず専門の獣医師に相談
・個体差: 犬にも体質があり、同じ癌でも、その子に合う漢方は異なる
・適宜調整: 体調や反応を見ながら、薬の種類や量を細かく調整していく継続的なケアが必要
当院の漢方薬治療の流れ
当院では、まず普段の様子を詳しくお聞きして、その子の体質を調べます。その後、実際に体に触れる触診やオーリングテストを活用して、今その子の体に本当に必要な漢方薬の種類・量・組み合わせを導き出します。
みんな同じ治療ではなく、その瞬間のその子に一番必要なオーダーメイドのケアを提案する。当院では、愛犬と飼い主様に寄り添うことを最も大切にしています。
犬の癌の漢方薬治療についてよくある質問
Q1. 「もう治らない」と言われた段階でも、漢方薬を始める意味はありますか?
はい、その段階だからこそ意味があるケースもあります。漢方薬は「完治」だけを目的とする治療ではありません。たとえ癌そのものが治らなくても、呼吸や痛み、不快感などをやわらげ、生活の質(QOL)を守ることを目指します。
「何もできない」と言われたあとでも、その子らしい時間を支える選択肢として漢方薬が役立つことがあります。
Q2. 高齢犬や体力がかなり落ちている子でも、漢方薬は負担になりませんか?
体力が落ちている子ほど、適切な診断のもとに選べば負担になりにくい治療です。漢方薬は、その子の体力や臓器の状態に合わせて内容や量を調整します。今ある力を穏やかに支えることを重視するため、高齢犬や体力が落ちている子でも取り入れられる場合があります。
Q3. 食欲があまりなく、漢方薬が飲めるか心配です。飲ませる方法はありますか?
はい、無理をさせずに与えられる方法があります。漢方薬はその子の状態に合わせて形や量を工夫することが可能です。
例えば、
・水やぬるま湯に溶かして少量ずつ与える
・シリンジ(注射器型スポイト)で優しく飲ませる
・一度に飲ませず、回数を分ける
など、食欲が落ちている子でも負担になりにくい方法があります。
まとめ|犬に漢方薬の選択肢を!癌治療で生活の質を守る方法
愛犬が癌になったとき、無理な治療で弱っていく姿を見守るのは本当につらいものです。でも、諦める必要はありません。治すことだけを目指すのではなく、「その子らしい日々を過ごすこと」を一番に考える漢方薬という道を選ぶこともできます。
犬の治療にも漢方を取り入れることで、免疫力を維持し、癌に伴う炎症をコントロールできる可能性があります。最期の時まで愛犬の目が輝き、ご家族と心を通わせられる時間を一日でも長く持つこと。それこそが、東洋医学が目指す癌治療のひとつの形です。
もし今、治療のことで迷われているのであれば、ぜひ一度、漢方薬というアプローチを検討してみてください。

















